海外では印鑑や拇印の朱肉さがしに苦戦するという話

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おそらく多くの海外在住者が悩まされているであろう日本のハンコ文化。
いま日本へ返送しなければならない書類が何枚か手元にあるのだけど、もれなく署名捺印欄がある。しかし私はハンコをこちらへ持ってきていない。
それなら拇印でいきましょ、って親指スタンバイするも朱肉やスタンプ台がない。こんなことなら前回の一時帰国の際、100均で買ってくるべきだった！

そういえば以前にも同じようなことがあったんだわ。
こちらの領事館に提出する書類に拇印を押そうとして朱肉がなかったので、その時は赤い口紅で代用したのだった。
そのときは特に何も言われず受領してもらえた。

しかし、今回は口紅すらない。
渋いピンク色のグロスならあるけど、これじゃ薄々だし油分が多すぎてダメでしょうね。

ということで、現地で手に入れることにした。

近所の文房具店に「こんにちはー」と言いながら入店したら、接客マンマンのおじさんが目の前に。
そういえば、朱肉とかスタンプ台ってトルコ語でなんて言えばいいんだ？？
こういう時に限って、スマホを家に忘れてしまい調べられず。

「親指のここに赤いのを塗ってですね、紙にこう押したいんですよねぇ、その赤いのが欲しいんですけどー」
って、絶対伝わらなそうな下手な説明だったが、なんとおじさん勘がイイ！
「Stanpa?（スタンパ）」と聞き返してきた。
あ、名前からして多分それっぽい。
でも、残念ながらここにはないと言われた。

次、別の文房具店へ。
また同じ説明をしつつ、Stanpaって言うのかしら？と探ってみると、戸棚の中をあれこれ探してくれた。
そして、手元に持ってきたものは確かにスタンプ台だった！
しかし残念、色が黒だった。
赤はないですか？と聞くと、残念ながら赤はないねぇ、とのこと。
でも、赤いスタンプ台がありそうな他の文房具店を教えてくれた。親切。

3店舗目。
もうStanpaで間違いないことが分かったので、自信満々に赤色のStanpaありますか？と言ってみた。
赤色がいいの？黒と青ならあるんだけど、って。
やっぱり海外では赤い朱肉やスタンプ台なんて一般的じゃないんだなー。
会社のゴム印を押すときは黒か青でしょ、たぶん。

おじさんが頑張って探してくれた結果、それっぽいのがあった。
これ～↓↓



しかしこれ、既に使ったものだって。売り物じゃなかったみたい。
書類を手元に持っているのに気づいたのか「その書類に押すの？ここで使っていきな」と言ってくれた。優しい。
でも今後のこともあるし、1個手元に持っておきたかった。
「使ったものでも構わないんですが、売ってもらうことはできませんか？」と聞いたら、「もちろんいいですよ」と言ってくれて、35リラ（約145円）で譲ってもらえた。

という具合に、朱肉はまず海外じゃないだろうし、赤色のスタンプ台って今回のように何店舗も探し回らなきゃ見つからない。

教訓。
朱肉は日本から持ってこよう。

これ愚痴になっちゃうんだけども。
今これだけ多くの日本人が海外で生活するようになったのだから、もうちょっと行政の手続きが楽にできるようにして欲しいよね。

今って、住民登録を抜くタイミングで印鑑証明も抹消されるわけ。
でも、日本国籍である限り、印鑑が必要なケースって出てくるのよ。
拇印じゃダメで、印鑑が必要だってケース。
例えば、相続関連の手続きとかね。
印鑑がない在留邦人はどうするかっていうと、署名証明（サイン証明）というものを在外公館まで出向いて取得しなきゃいけない。
領事の面前でサインをし、そのサインが確かに本人によってなされたものかを証明するもの。
これ、在外公館が近くある首都や大きな都市に住んでる人はまだいいですよ。
私のように地方都市に住んでると、そのためにわざわざ飛行機で行かなきゃいかないわけ。
お金も時間もかかる。

じゃぁ、日本一時帰国の際にやりましょ、ってなるでしょ。
国籍が日本なんだから、身分証明書の提示でなんとかしてくれんだろ、って思うじゃない？
しかしそこにも落とし穴があって、今度は住所の証明が必要なわけ。
となると日本には住民登録がないでしょ。
居住地の住所を証明するものがなきゃいけない。
トルコの場合は住所証明が簡単に取得できるけど、それじゃダメなのよね。
トルコの公的機関から出された書類であっても、日本がそれを本物だと認めることができないから。
そこで必要となるのが在留証明よ。
これまた現地の在外公館で取得しないといけない。
だから、日本の公証役場でサイン証明をしてもらう場合でも、日本人だっつーのにまずは居住地で必要書類を取得、その上で日本へ来て初めて対応してもらえる。
ちなみに日本の公証役場でお願いすると1万円以上かかるみたいね。はぁ。

海外在住者ってビザなり滞在許可なり現地の公的証明が何かしらあるんだから、最初の一回だけ在外公館で手続きをすれば、その後はビザなり滞在許可が有効な間は、サイン証明なり在留証明は1回だけ取得すれば後は有効期限などの制限なしに認めてもらえるよう法改正してほしいわ。

それに、ハンコ文化もそろそろいいんじゃない？
顔認証、指紋認証、こんなにITが進化してるんだからさ。
もっと何とかならんのかしら？？


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